サービス利用に至るきっかけ
S様 女性 84歳 要介護2
夫と二人暮らしをしていたS様。認知症があるため、夫が介護していました。S様はフラッと家を出てそのまま行方が分からなくなり、警察に保護されることが度々ありましたが、身体的には健康であったため、介護保険の申請はしていませんでした。そんな日々を送っていたS様でしたが、ある日突然夫が倒れ、そのまま亡くなってしまいました。家族は長男一家だけでしたが、子供が小さく、S様の介護まではできない状況でした。
本人・ご家族の希望
長男はS様の状況から施設入所を希望されました。ご本人様は、すでに正常な判断はできない様子で、「施設に移ってもいいか」と長男様が話しかけても、その意味を理解できない様子で、ただひたすら自分の気になっていることを話しているだけの状況でした。
ケアマネジャーの提案
緊急性が高いと判断したケアマネジャーは介護保険の申請と同時にショートステイでS様に生活していただくことにしました。その間に長男は施設を探し、認知症専門の施設であるグループホームに入居させたいと施設を訪れて見学、申し込みをしました。幸いにも施設には空室が出たタイミングであったため、すぐに入居となりました。
施設に入所して
S様はグループホームに入居しても戸惑う表情は見せませんでした。しかし、施設内を行ったり来たり。いろいろな扉を開けては閉めてと徘徊していました。そこで職員が話し合い、散歩を日課とすることと、できる限りS様に家事などの手伝いをしてもらうようにしました。施設内が比較的落ち着く午後になると、近所を歩いて散歩することが日課となりました。また、食後の食器拭きや洗濯物たたみ、廊下の掃き掃除などを職員と一緒に行うことが習慣となりました。
S様はその後も静かに暮らしています。認知症が大きく進行することもなく、また、時々会いに来る長男とも笑顔で会話をされており、どちらにとってもグループホームへの入居が良い選択であったと思われます。